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高森明勅
2020.1.28 00:58皇統問題

女系派?

皇室典範の改正を巡って、「男系派VS女系派」という対立があるかのような
議論を見かける。これは不正確だ。

少なくとも、新聞・テレビ・雑誌・書籍などにおける責任ある言論を見る限り、「女系派」なるものは存在しないはず。今の皇室典範の「男系」限定をそのまま維持するか、典範を改正する場合でも男系「優先」は譲れない、というのが男系派の立場だろう。これに対立しているのは、以下のような立場だ。側室不在・非嫡出の継承否認という条件下で、男系限定をいつまでも
維持しようとすれば、皇室の“聖域性”を守りながらその存続を図るのは無理になるので、
男系限定は解除しなければならない、と。
厳密な定義による女系とは、女性から女性へと繋ぎ、中間に男性を全く介在させない。
言い換えると、「女系女子」に限定するということ。
そんな皇位の継承の仕方は、「男系男子」に限定するのと同じように、
一夫一婦制を前提とする以上、行き詰まる他ない。

 

そうではなく、天皇の血統(皇統)を継ぐ皇族であれば、その天皇の性別に関わりなく、
皇位を継承できるルールにすべきだということだ。
皇位・皇統の尊厳を重く見るか、前近代の元々はシナに由来する男尊女卑をあくまでも
固守するか。
その対立だ。

 

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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